「実はわたし、ヨガウェアが苦手で……」。インタビューを始めるとすぐに、斉藤さんは少し恥ずかしそうに素直な気持ちを伝えてくれた。

「着圧が強すぎると苦しくなって疲れてしまうんです。でも、今回着たウェアは着ているのを忘れるくらいリラックスできました。レギンスは、とてもやわらかな素材なのに身体にフィットし、それでいて、クロッチ部分に違和感が一切出ない。ヨガをする女性のことをすごく考えて作られていると感じました」

斉藤さんがはいているのは、薄手で伸びがよく、素肌にしっとりと馴染む“C BASIC”シリーズのスキンレギンス。背中のクロスディテールが女性らしい同素材のトップを合わせ、オールブラックでシックに着こなす。

「ヨガウェアも普段の服も黒ばかり。白もたまに着ます」と話す彼女にその理由を尋ねると、「なんででしょうね(笑)」とはにかんだ表情を見せる。明確な理由はないそうだが、ゆっくりと言葉を選んで口にする穏やかな姿勢から、日々まとうものの選択も、ニュートラルな自分を保つ手立てのひとつになっているのではないかと想像させられる。

そんな彼女がヨガと出会ったのは15年ほど前の20代の時。友達に誘われて出かけたジムのヨガクラスだった。

「レッスンが終わった後、これまで感じたことのない安定感がありました。身体も呼吸も整って、心がすごく穏やかになったのを覚えています。深くヨガのことを知りたくなって、すぐに学校へ通い始めました。あまりの奥深さに一箇所だけでは学びきれず、別の学校にもう一度通いました」

学び続けたヨガの後に、興味を深めていったのが瞑想の世界。

「心の軸を安定させる瞑想は、生活の中にぜひ取り入れていただきたい習慣のひとつ。わたしのクラスでは、誰でも瞑想がうまくできるようになる方法をシェアしています。それが、瞑想に向かうためのヨガ。ヨガで身体が整うと呼吸が落ち着き、呼吸が整うと心が穏やかになります。そうすることで、頑張らなくても瞑想に自然と入れるのです」

スキンシリーズのウェアの上にカーディガンをさっと羽織る。自然体ながら品が宿るスタイルは、彼女が内包する意思とやさしさを感じさせ、お茶をていねいに淹れる仕草もまた、たおやかな魅力にあふれている。

「瞑想を勉強していく中で禅の思想に触れ、禅と密な関係にあるお茶を学びたくなりました。それでまた学校に通って……」とクスッと笑う。控えめで落ち着いた印象とは裏腹に、好きなことは貪欲に吸収する。自分らしさはそのままに、新しい挑戦を続けていく姿はまぶしいほど美しく、彼女の芯の強さを確かに感じた。

「最近デニムをあまりはいていなかったのですが、窮屈感のないはき心地が今の自分にフィットしている感じがしました。ギャザーが女性らしい印象になるTシャツも、黒ならわたしらしく着られます」

スタジオの行き帰りなど、普段はシンプルなカジュアルスタイルが多いそうで、今っぽさと自分らしさのバランスを大切にしていると話す。

ヨガから瞑想、そしてお茶へ。独自のアプローチで、生活習慣やそこからつながる心地よい暮らし方を提案する斉藤さん。健やかに生きるためのコツを尋ねると、「不自然なことはやめるようにしている」と教えてくれた。

「イエスマンになってすべてを受け入れていると苦しいだけでなく、微妙なズレが生じて、自分がだんだんと違う人になってしまう。余計なはからいをやめ、自分を自然な状態に戻すためにも、瞑想で現在地を確認しておくことが大事。わたしは毎朝、自分のために一杯のお茶をていねいに淹れます。香りを楽しみ、茶葉がひらく様子をじっと見つめる。身体と心に染み入るお茶をゆっくりといただくひと時も、瞑想の時間になると思います」

PROFILE

斉藤りょう子 さん
(メディテーター/ヨギ)

2008年よりヨガを体系的に学び始め、2014年よりヨガを通じた活動を開始。その後マインドフルネス瞑想を学び、現在は、瞑想を通じて学びはじめた「茶」の空間や時間を瞑想とする「ティーメディテーション」を提供。静けさや穏やかさ、日々の無意識の中にある瞬きへの気づき、身体と心をおおらかに開き、受け取り、外の手触りを感じることを伝えている。チャコット代官山バランススタジオのクラス「ヨガと瞑想」の講師としても活躍。

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