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菅井円加コラボウェア発売記念インタビュー第二弾

ハンブルク・バレエ団のプリンシパル、菅井円加さん。どんな作品でも強い存在感を放ち、音楽性と踊る喜びにあふれた表現は世界中を魅了しています。第一弾に続き、そんな円加さんとのコラボウェア撮影現場で行われたインタビューの模様をお伝えします。今回は、バレエを始めたきっかけやノイマイヤー作品の魅力についてうかがいました。

Interview

「もう少しだけ」頑張ってみる。

3歳の時、幼稚園の課外活動の体操教室でバレエを始めて、本格的なバレエのレッスンを受けたのは6歳のときです。小さい頃から身体を動かすことが大好きで、いつの間にかバレエがなくてはならない、大切なものになっていました。
でも、バレエをやめたいと思ったことは何度もあります。いちばんバレエがつらかったのは中学生時代ですね。身体が変わってくる時期で、恥ずかしさやコンプレックスもあり、遊びたい盛りでもありました。放課後はバレエ教室に直行する毎日で、友達が遊びに誘ってくれても行けないし、話にも入れない。レッスンをさぼったこともありますし、親にもかなり反抗しました。

そんな時、私の尊敬してやまない恩師が「やめるのはすごく簡単。ただ後悔はしないように」と言ってくださったんです。その言葉で、練習を重ねて本番を迎え、舞台で踊り切り、お客様に拍手をもらう瞬間が私にはすごく大切だと気づきました。舞台に立つたびに「私は踊っていてよかった」と心から思うので、その感覚を味わえなくなったら絶対に後悔する。今できることを地道にやっていこうと思えたんです。
あの時期があってこそ今がある。今の私に、後悔は一切ありません。先生や家族、周囲の人に恵まれていたからこそ、バレエを続けてこられたと思っています。

劇場で生き続けるキャラクターたち。

ローザンヌ・コンクールの後すぐ、ハンブルク・バレエ団のジュニアカンパニーで踊り始めたので、ハンブルクでの生活も10年になりました。
ジョンの作品は感情表現がとても大事で、見ているとダンサーの心情がストレートに迫ってきます。ハンブルク・バレエのダンサーは世界中から集まっていて、一人ひとり個性が強く、誰も似たような踊り方ができない。ジョンの作品でこそ光り輝くメンバーがそろった、スペシャルなカンパニーだと感じています。

レパートリーには、まだ日本で上演されていない、すばらしい作品がたくさんありますが、2020年、コロナ禍のさなかにジョンがつくった『ゴースト・ライト』もそのひとつです。2021年の日本公演で上演されるはずでしたが、中止になってしまって本当に残念でした。




「ゴースト・ライト」とは、劇場に公演がない日も、舞台上に常につけておく電球のことです。昔は劇場には幽霊がいるから灯りは消さない、という意味もあったそうですが、今回の作品では「劇場の灯は絶やさない」という意味が込められていたと思います。ラストには、椿姫やニジンスキー、シルフィードなど、ジョンの作品のいろんなキャラクターが、ゴースト・ライトの下に集まってきます。たとえ公演ができなくても、彼らは劇場で生きている。私自身、「芸術は生き続ける」というジョンの強いメッセージを感じながら踊りました。

ジョンと作品をクリエイトする時間は、毎回すごく「濃い」です。彼のステップのアイデアをもってきて、私たちがちょっと動いてみる。ジョンは「もう少し反ってみて」「ここにアクセントをつけて」というふうに、ダンサーを見ながら動きを発展させていきます。
『ゴースト・ライト』は全編シューベルトのピアノ曲の生演奏で踊られるのですが、私が踊ったパ・ド・ドゥは即興曲第1番に振り付けたもので、特にストーリーはありません。でも、全身全霊で集中しないと踊れない。一回一回初めてのつもりでつくっていかないとだめだと思いました。毎回、いろいろなことを感じ、考えながら踊るので、体力とメンタルは厳しく削られますけれど、私にとって大切な作品になりました。

そのほかにも、好きな作品はたくさんあります。エネルギッシュで踊る喜びにあふれた『クリスマス・オラトリオ』も、2023年の来日公演で踊る『シルヴィア』も大好きですし、『椿姫』はいつか絶対に踊りたい憧れの作品です。マルグリットは難しい役だけれど、自分なりにつきつめて演じてみたい。様々な方が踊っているのを見ながら「自分ならこう踊りたい!」と何度もシミュレーションしています。

踊りへのヒントが、プレッシャーを軽くしてくれる。

プリンシパルという立場のプレッシャーは、正直なところ、重たすぎるくらい重いです。私はまだまだ未熟で習うことがたくさんあるのでもっと勉強 したいし、成長したい。円加を目標に頑張っている後輩の子たちがいるんだから、と友達に諭されることもありますが、目標にしてもらうには、自分にはまだ準備ができていない、という感じがするんです。

でも、あまり考えすぎると不安で仕方なくなってしまうので、できるだけ他のカンパニーで活躍されている方の舞台や映像を見て、モチベーションを上げるようにしています。「私もこんなふうに踊ってみたい」「こんな動き方を取り入れてみよう」とヒントをいただくことで、気持ちが前向きになる。本当に落ち込んでしまった時は、潔くバレエから離れてみます。一回全部やめたり、まったく別のことをしてみるのも大事だなって思います。

オフの日は、とにかくゆっくりお風呂に入って、ひとりの時間を楽しみます。お風呂でユーチューブをみたり、好きな音楽を聴きながら思いきり長湯をします。
好きなものを食べて、好きな映画を見て。映画はアクション物も恋愛系もコメディ系も大好き。ホラー系も意外と好きなので、友達と見に行ったりしますね。最近面白かったのは、スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー(リメイク版)』です。日本に帰国する飛行機の中でやっと見ることができて、一人でワクワクしたり、感動したり。テンションを上げるためにサウンドトラックをダウンロードして、移動中やリハーサル前に聴いたりしています。

ダンスは、踊る人と観る人が一緒につくりあげるものだと思います。 もっともっと楽しんで踊って、お客様に楽しんでもらって、踊る楽しさを劇場で分かち合えたら。 また皆様と、劇場でお会いできるのを楽しみにしています。

Interview:Kaya Sakaguchi

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