Special Interview

新国立劇場バレエ団
Floral Art by ムロマメ舎

Interview

Ayako Ono

Q

「新しい一歩を踏み出した」と思った瞬間はいつですか?

A

プロのダンサーを目指そうと決意したとき。

高校1~2年生の時でした。学校で進路希望を提出しなければならないタイミングがあり、将来何をしたくて進学するのか・しないのかを考えた結果、プロになると決めました。

本当にその道で行くと決めてからは、毎日が全然違うものになりました。楽しいだけのお稽古事からプロを目指すとなったら、同じ一時間半のレッスンでも密度が変わりました。バーレッスンが終わった時の汗のかく量が違いますし、筋肉を使っている度合いが確実に変わってきます。

今でも目的意識を持ってレッスンに取り組むこと、些細なことでも意味を持って行うことは重要だと思っています。

Q

「自身の成長のため」に日々継続していることは何ですか?

A

毎日、全力で取り組めるよう心身を整えること。

具体的に体の面では、トレーニングやアフターケアになるのですが、年齢ごとやその時々で必要なものが変化するので、どれをずっと続けているということはありません。メンタル面でいうと、おいしいご飯を食べることですね。

また、モチベーションの観点からいうと、今日レッスンでいただいたフィードバックから次の日のやるべきことが見えてくる。その「やることがある」ということがメンタルを支えるうえでポイントになっていると思います。

Q

好きなお花や、思い出に残っているお花はありますか?

A

ナズナ、シロツメクサ、オオイヌノフグリ、レンゲソウ、ハルジオン、タンポポ、ハス、梅、沈丁花、山吹、蝋梅、フキノトウ、ヒマワリ、芝桜、モッコウバラ、ツツジ、フジ、セリの花、菜の花、野いちご…

これらのお花に、何かつながりや理屈があって好きだと思うわけではありません。道端で季節ごとに咲くお花たちのたくましさなどが好きです。

Q

小野さんらしさをお花で表現するとしたら、どんな世界観や雰囲気であってほしい?また、小野さんらしさを表現したお花を通じてメッセージを届けるとしたら、どのような想いを届けたいですか?

A

光、ともしび、よすが

正直、自分をイメージしたお花を聞かれて困ってしまって。私は花というより、草じゃない?みたいな。

好きなお花を聞かれた時に、普段日本で暮らしていて、その季節ごとに目に留まる身近なお花がとても好ましいなと。例えばあるお花を見たら「ああ春が来たな」と、それぞれの花で四季を感じますよね。そして「何年か前の春に自分はこんなことがあったな」とか、「あの人を思い出すな」とか、私にとっては、お花がそういう思い出のよすがであることが多いかもしれません。優しい記憶とでも言うのでしょうか。それを届けたいですね。

Interview

Yuri Kimura

Q

新しい一歩を踏み出した」と思った瞬間(転機や再出発)はいつですか?

A

骨折をして、半年間舞台に立てなかった、2023年の時です。

骨折をして、半年間、舞台に立てない時期がありました。焦りと悔しさが胸を締めつけ、光の届かない場所にいるような日々。それでも、トレーニングやリハビリを重ね、一つひとつの動きに丁寧に心を添えるうちに、ふと、自分の内側から静かに湧き上がる穏やかさに気づきました。今まで気がつかなかった気持ちや自分の本質と調和した幸せを見つめながら歩むのと、それを見失って歩むのとでは、まるで地図のある旅と、闇の中を手探りで進む旅ほどの違いがある――そう感じています。

Q

今まで気が付かなった気持ちや本質とは何ですか?

A

それはやはり、私は踊ることが好きで、バレエがかけがえのない存在なのだということです。自分の生活からバレエが無くなることを想像できていなかったので。

これまでは、目の前の役柄のことや、ひとつの公演が終わったらすぐ次の公演と、目まぐるしく常に何かを考え、動き続けていました。心身ともに疲れ切って、毎日ぐったりしていたのも事実です。でも、いざ長い期間お休みとなると、不思議なほどの寂しさに包まれました。どれほど疲れても、どれほど休みたいと思っても、それ以上に踊りたい気持ちが自分の中にあるのだと知ったのです。もう、簡単に「休みたい」とは言えない——そう思えるほどに。

Q

「自身の成長のため」に日々継続していることは何ですか?

A

基礎筋力トレーニングは、今も欠かさず続けています。

体の軸が歪んだまま動かしてしまわないよう、定期的にパーソナルトレーナーに見ていただきながら、おもりを使ったトレーニングなどひとつひとつ丁寧に積み重ねるようにしています。

Q

「極めよう」と思って挑戦していることや目標はありますか?

A

ジャイロトニックに魅了され、ついに資格まで取りました。

自宅にジャイロトニックのマシンを置き、毎日2時間ほど。背骨のひとつひとつを感じながら、理想とする動きや呼吸の流れを探っていく時間がたまらなく好きです。

中から外に伸ばしていくジャイロとは別に、怪我をしてからは新たに、踏ん張る力を鍛えたりするスポーツトレーニングなども始めました。バレエとはちょっと違うのですが、まっすぐ立つとか、まっすぐ歩くとか、バレエの基礎以前の、人としての基本的な動きを底上げすると、バレエもやりやすくなり、良い影響を受けています。

Q

好きはお花や、思い出に残っているお花はありますか?

A

名前が「ゆり」だからでしょうか、ユリの花をいただくことが多いですし、小さい頃から家にはいつもユリの花が飾られていて、その香りとともに育った記憶があります。ユリの花を見るとどこか懐かしく、心の奥がスッと静まる気がします。

もうひとつ好きな花は、デルフィニウムです。「幸運を振りまく」という花言葉がとても印象的で、素敵だなと感じました。色によって「高貴」や「優雅」など意味が異なると知って、その繊細さにも惹かれています。

Q

木村さんらしさをお花で表現するとしたら、どんな世界観や雰囲気であってほしい?

A

ユリの花のように、凛と優しくまっすぐに、自分という花を咲かせられたらと思います。痛みも、静かな時間も、すべては次へとつながる力になる。光に向かって伸びていくように。

Q

木村さんらしさを表現したお花を通じてメッセージを届けるとしたらどのような想いを届けたいですか?

A

今という瞬間を、出来る限り丁寧に生きる。

自分に起きた出来事の全部が、今の自分を作っていると思っていて。怪我だけじゃなく、今まであったことのひとつひとつが、自分を変化させるために起きたんだと。たとえ悪い出来事だったとしても、いつか絶対に宝物になる——そう意識するよう普段から心がけてみると、人生はゴールの輝きだけでなく歩む過程にもたくさんの美しさがあると気づく事が出来ました。そういったポジティブな思いを届けられたらと思います。

Interview

Saho Shibayama

Q

新しい一歩を踏み出した」と思った瞬間(転機や再出発)はいつですか?

A

自分の中で留学や入団、主演デビューなど転機になった出来事はたくさんあるのですが、自ら勇気をもって一歩踏み出したことといえば、振付に挑戦した時かと思います。

「DANCE to the Future 2023」で作品を発表したのですが、創作を経験したことで、作品に取り組む際の意識が変わりました。振りひとつひとつに想いが込められていることを、自分の実感としてより理解できるようになったんです。それ以来、自分なりに振付家の意図を咀嚼して身体を通してどう踊るのかより深い次元で考えられるようになったと感じています。

今は、踊りというジャンルの中で、自分が何を面白いと思うのか、何をしたときに私の心がどう動くのか、探しているところです。その先に自分自身の問いやテーマが見つかった時、また作品づくりにも向き合えたらなと思っています。

Q

「自身の成長のため」に日々継続していることは何ですか?

A

メンテナンスや、もっと身体の使い方を良くしていきたいという思いで、様々なトレーニングやコンディショニングを取り入れています。自分の身体が前よりも踊りやすくなっているな、まだ伸びしろがあるんだなと発見できると嬉しいですし、もっと良くなるのではと探求心が尽きません。

Q

「極めよう」と思って挑戦していることや目標はありますか?

A

技術の向上や表現の幅を広げていく等、バレエに関わる全てのことが永遠の課題です。

踊りの力加減、身体のつながり、この土台の先に表現の幅の広がりがあるのではと思っていて模索しています。

Q

好きなお花や、思い出に残っているお花はありますか?

A

ラナンキュラスは、最近父がたくさん鉢植えのお花を育てているうちのひとつなのですが、実家に帰った時に見かけてとても印象に残りました。アジサイは自分の誕生月のお花というのもあって親近感があります。

あとは、実家のお庭に咲く梅の花や、木に咲く白い花たちも華やかで、毎年それを見るのが楽しみでした。学校や通学路に咲いていた金木犀も好きですし、ツツジの花は友達と蜜を吸ったりもしていました(笑)。どのお花も小さい頃の記憶を鮮明に思い出させてくれます。

ユーカリは見ていて気持ちがリラックスできるので、お部屋に置いたりして楽しんでいるくらい好きです。

Q

柴山さんらしさをお花で表現するとしたら、どんな世界観や雰囲気であってほしい? また、柴山さんらしさを表現したお花を通じてメッセージを届けるとしたら、どのような想いを届けたいですか?

A

私に限らず、人はいろんな側面があって、様々な“自分らしさ”を持っていますよね。そうした色々な自分の要素から何を取り出して表現するかでイメージは異なってくると思いますが、それでもぶれない軸や芯のようなものを大切にしたいです。今回の企画を通してムロヅミさんとご一緒して、自分では気づいていない新たな一面を発見できるのではと楽しみにしています。いつもと違うことが出来そうな、少し背中を押してくれそうな、そんなワクワクする気持ちを届けたいです。

Interview

Yui Yonezawa

Q

「新しい一歩を踏み出した」と思った瞬間はいつですか?

A

新国立劇場バレエ団に入団が決まった時です。一度諦めかけたプロの道が開いた瞬間でした。

一度、バレエは趣味でやっている方が楽しいかもしれないとやめようか迷ったことがあって。これが最後のチャンスと応募して、採用してくださったのがビントレー元芸術監督でした。そのオーディションがダメだったら、編集者になりたいと考えていたんです。

君をソリストで採るとビントレーさんに言っていただいた時には、目の前の道が開いた感覚があって、忘れられない瞬間です。

Q

「自身の成長のため」に日々継続していることは何ですか?

A

自分の成長のためにとは思っていないのですが、毎日1時間ストレッチとリリースをしていることでしょうか。バレエが好きという気持ちが原動力になっている気がします。

いま踊っていて、バレエという、憧れであり手の届かなかったものに、ほんの少しずつなんですけど、近づいているっていう感覚があって、年々、日に日にバレエが好きになります。一生かけても理解するところまで到達出来ないと分かっているんですけど、バレエの豊かさとか、本当の意味での美しさみたいなものが、自分の中で分かってきています。それが本当に嬉しくて、もっともっと知らない扉を探り当てたいという気持ちが高まっています。

それらの気づきというのは、リハーサル中の先生の一言だったり、舞台上での一瞬だったり、パートナーとの会話だったり、きっかけは本当にさまざま。本を読んでいて、あるフレーズに、「あ、こういうことだったのかも」とハッとしたり。映画を見ていて、「あの作品の、あの分からなかった感情って、もしかしてこういうことだったのかも」と思ったり。本当に色んなところに落ちているものですね。

Q

「極めよう」と思って挑戦していることや目標はありますか?

A

自分の踊りを極めたい、探したいと思っています。

ただ、「踊ること」そのものが「自分の踊りを極めること・探すこと」なので、特別に何かを頑張ったり、努力しているという感覚ではありません。ですので、自分の踊りを極めること・探すことを、挑戦や目標といった言葉にするのは少し違和感を覚えます。

ただ、先ほど成長のためにしていることでもお話ししたのですが、どこに踊りや演技のヒントが落ちているか分からないので、常にアンテナは張るようにしています。それと同時に、自分の意思通りに動く身体を目指し、日々メンテナンスを怠らないよう心がけています。

Q

自分の踊りというのは、どういうことでしょうか?

A

どういうことなんでしょう(笑)

もちろん 100 人いれば 100 通りの踊り方があるので、これが私の踊りですって言うのはなかなか難しいとは思うのですが…。

私は昔から、バレエという芸術には数学的な美しさがあると思っています。例えば、バレエは基礎という決まった型があります。ポジションは正確に、体のラインが美しくないと出せない美というものがあるから、まずそれを手に入れないといけません。それに対して、物語は自分の体で語らなくてはならない。でも体は正しいポジションまで持っていって…と、窮屈なところで表現をしなければならない葛藤を抱えていました。

キャリアの後半で吉田都芸術監督の指導を受けられたことは、私にとってとても大きい出来事です。都さんから、あなたはきちんとは踊れているけど、もっと自由に楽しんで踊っていいと何度も声をかけていただきました。見ている人が自由さとか、幸せを感じる踊り―。それがどういうことなのかを考えた時に、相手に判断をゆだねるのではなく、まず私がそれらを感じて踊らないといけないと思うようになりました。それを探り始めた時から、窮屈さから少しずつですけど解放されつつあるような感覚があって。気持ちも体も自由に羽ばたこうとする気配があります。いつか掴みたいです。

Q

好きなお花や、思い出に残っているお花はありますか?

A

木蓮とハナミズキでしょうか。木に咲く白いお花が好きで。

幼い頃に住んでいた家の近くに木蓮の大きな木があって。毎春、その前を通るたびに「これは木蓮っていうんだよ。」と父が教えてくれました。香りが特徴的ですし、父がとても好きだったみたいで。だからだと思いますが、私が最初に覚えたお花の名前が「木蓮」です。

ハナミズキにも思い出があります。将来について色々と迷って先が見えなかった時に、家の前にある陸橋のたもとにハナミズキの木があったんです。こちらを向いて咲いているので、そこを通るたびに何か慰められているような気持ちになって、「ああ頑張るか」って。今でもハナミズキを見るたびに、その時のことを思い出します。

Q

米沢さんらしさをお花で表現するとしたら、どんな世界観や雰囲気であってほしい?

A

木に咲く白いお花が好きなので、幹や枝の生命力、力強さの先に、繊細な花が咲く。そんなイメージだと嬉しいです。

Q

米沢さんらしさを表現したお花を通じてメッセージを届けるとしたらどのような想いを届けたいですか?

A

生きることの喜びと悲しみ

「お花を通して」なのにとも思ったんですけど…。人間が生み出した、絵とか音楽とか文学とか、バレエの舞台もそうですけど、私の中には美しいものは悲しいって感覚があります。それはなぜだろうって考えたとき、この言葉につながりました。お花は人間が生み出したものではないけど、美しく咲いた後にはかなく消えてしまうものだからでしょうか。

生きていくうえで、喜びがあるから悲しみがあって、悲しみがあるから喜びがあるという、光と影のような背中合わせの感覚を、大切にして日々を過ごしたいと思っています。